健康情報を更新しました 「急性アルコール中毒」

今月の健康情報は「急性アルコール中毒」です。

 

急性アルコール中毒

これから年末年始にかけて、成人の方は何かとお酒を飲む機会が増えるのではないでしょうか。 今回の健康情報では急性アルコール中毒について取り上げ、お酒の正しい知識と付き合い方についてご紹介したいと思います。

急性アルコール中毒とは

短時間に多量のアルコールを摂取することによりアルコール血中濃度が上がり生じる中毒のことです。運動機能に障害が出たり、一時的な意識障害に陥ることがあります。一般的には「酩酊(めいてい)」以上の状態にあることを指します。

【酩酊状態とは】
血中濃度0.1%~0.3%程度。理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下すると、本能や感情をつかさどる大脳辺縁系の活動が活発になり、軽い酩酊状態となる。やがて小脳にまで麻痺が広がると運動能力に影響が出て、足元がふらついたりする他、呼吸が早くなったり、吐き気を感じるようになる。

血中濃度による「酔い」の状態分類


主な症状

以下のような症状が出た場合には、注意が必要です。
周囲にそのような症状の人を発見した場合には、すぐにアルコールの摂取をとめ、手当を行なったり、場合によっては救急車を呼ぶなどの対応を取りましょう。

■頭痛・吐き気
■悪寒・震え
■呂律(ろれつ)が回らない・歩行困難
■呼吸回数の減少
■意識低下・痙攣・失禁など


対処法・治療法

急性アルコール中毒の症状がある場合は、まずは近くの人が応急手当を行いましょう。 症状の度合いに応じて医療機関を受診させましょう。
症状の判断や詳しい治療の内容については担当医師にお尋ねください。


対処法・治療法の一例

■頭痛・吐き気がある場合
症状が軽度な状態である場合は、飲酒をストップさせ、水分補給をするよう促しましょう。
自分でムリに吐こうとしたり、意識がもうろうとしている人を吐かせるのは絶対にやめましょう。嘔吐物が逆流し、喉に詰まって窒息したり、消化管が裂けて出血する可能性があります。

■身体を温め経過観察
アルコールを解毒する薬はないため、軽度な症状であれば自然にアルコールが抜けるのを待つことになります。「泥酔」以上の状態になれば、血圧が下がり、低体温症を引き起こす場合があります。低体温を防ぐために毛布などで身体を温め、経過を観察します。

水分を補給させる場合は、冷水ではなく、人肌程度の白湯が効果的です。


■医療機関にて点滴を行う
多くの病院で実施されているのが、アルコールを体外へ排出させるための点滴(輸液)と、利尿薬の投与です。回復の様子を見ながら、適宜点滴量を加減していきます。
脱水症状を緩和する時にも点滴が行われます。
症状が軽度~中程度であれば、点滴のみで回復することが多いと言われています。


■入院治療
重度の場合は、入院による経過観察が必要となる場合があります。 重篤な状態で呼吸困難に陥っている場合は、気道を確保するために気管内挿管を行います。
その他、意識障害の原因に応じた処置を行います。



アルコールと上手に付き合うために

楽しい雰囲気を一変させる「急性アルコール中毒」。
自分が「ならない」、他人を「させない」ために以下のポイントに注意しましょう。

■飲めない人は事前に、飲めない体質であることを周囲に伝えておきましょう。
体質的に飲めないタイプの人は、練習でお酒の耐性がつくわけではありません。 周囲に合わせてムリに飲もうとすることはやめましょう。

■一気飲み、飲酒の強要は絶対にいけません。
一気飲みは血中アルコール濃度が一気に上昇する危険行為です。 他人への強要も事故に繋がる元です。絶対にやめましょう。
また、万が一勧められた場合は、断りましょう。



■ゆっくり食事を楽しみながら飲みましょう。
最初の30分間は血中アルコール濃度が上昇し始める時間です。この時間は出来 るだけゆっくり飲むように心がけましょう。胃が空っぽの状態でお酒を飲むと、胃の粘膜を傷つけたり、吸収を早めることになります。食事もしっかり取るようにしましょう。

■水分補給を忘れずに
お酒=水分補給ではありません。適宜、お水や炭酸水などを取り入れましょう。ウイスキーや焼酎などの、アルコール度数の高いお酒を飲む場合は、水で割るかチェイサーを用意し、お酒の濃度を調整しましょう。

■自制心を忘れずに
飲み過ぎてブレーキが利かなくなる人がいますが、そういう人は要注意!お酒で失敗したことがある方は、過去の苦い経験を思い出し、自分にストップをかけるようにしましょう。

お酒は上手に付き合えば、決して悪いものではありません。
各自節度を守り、安全で楽しい飲み会になるよう、心がけましょう。

※未成年者の飲酒は法律で禁止されています。周囲の大人は、未成年者の飲酒を防止し、その機会を見過ごしてはいけません。




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